FXの税制はどうなっているのか

2012年度にFXの税制が変更となりました。

大きく3点あり、最大の変更点は総合課税から申告分離課税へと変わったことです。
他に、取引所先物取引との損益通算ができるようになったこと、損失を翌年以降3年間繰越して控除することができるようになったこと、があげられます。それぞれについて以下説明します。

1)申告分離課税で税率は一律に

店頭でおこなったFX取りひきの利益は、これまで「総合課税」が適用されてきました。複数の所得を合算したトータルに税率をかけたものを税額とする方式です。総所得が大きいほど税率は高くなり、最大50%です。高額所得者の場合は、FXで得た利益の半分を納税しなければならなかったのです。
2012年からは、それが申告分離課税に変更となりました。申告分離課税とは、給与などの所得とは合算せずに、FXの利益に税率をかけて税額とする方式です。総所得に関係なく税率は一律で、2012年度は20%、2013年度は20.315%となります。2013年度に若干上がっているのは、東日本震災の復興特別所得税分が加えられたためです。

この変更で恩恵を受けるのは、比較的所得の高い人です。高所得者の場合、利益の5割を納税しなければならなかったのが、2割程度に減ったのです。たとえば、FXで年間100万円の利益を得た場合について比較します。課税所得が200万円程度の人の場合、税額はほとんど変わりません。所得が700万円程度の人であれば、13万円弱安くなります。それが所得1800万円以上の高所得者の場合は30万円近く安くなるのです。

2)損益を取引所先物取引と通算可能に

この改定で、商品先物取引、株価指数先物取引などと損益通算できることになりました。仮にFXで利益があっても、他の商品で損失があればそれを相殺することができます。
損益通算できるのは、取引所FX(くりっく365)、くりっく株365、日経225先物、商品先物取引、CFD(差金決済取引)です。それぞれを複数の業者でおこなった場合でも、すべて通算できます。株式現物取引と上場株式投資信託は通算できません。

例えば、FXで100万円の益があり、先物取引で50万円の損があった場合、
100万円―50万円=50万円 
が課税対象となります。

この例の場合、課税所得が700万円程度の人の税額は以下のように変わります。
<改定前> 損益通算できないので課税対象は100万円 総合課税で税額33万円
 ↓
<改定後> 損益通算できるので課税対象は50万円   申告分離課税で10万円強
差しひきで、
33万円―10万円強=23万円弱、税金が安くなります。

同じく、課税所得が1800万円以上の人の税額は以下のように変わります。
<改定前> 損益通算できないので課税対象は100万円 総合課税で税額50万円
<改定後> 損益通算できるので課税対象は50万円   申告分離課税で10万円強
差しひきで、50万円―10万円強=40万円弱、税金が安くなります。

これまでは、一方に損失があっても、もう一方に利益がある場合には、利益に対してだけ税金を支払わなければなりませんでした。損益通算ができることとなり、幅広い取引ができるようになります

3)損失繰越控除が3年間可能に

 これまでは、損失をくりこして翌年の利益と相殺することができませんでした。2012年の改定により、取りひきで生じた損失を、翌年以降3年間にわたり利益から控除することができるようになりました。
例えば、2013年に100万円の損失をだし、2014年以降は毎年それぞれ30万円の利益をあげた場合で説明します。

  • 2013年
    損失100万円→課税なし
  • 2014年
    利益20万円―100万円=-70万円(繰りこし損失)
    →課税なし
  • 2015年
    利益30万円―70万円=-40万円(繰りこし損失)
    →課税なし
  • 2016年
    利益30万円―40万円=-10万円(繰りこし損失は次年以降消滅)
    →課税なし
  • 2017年
    利益30万円―0万円=30万円 
    課税あり(約6万円)
  •  

ただし、損失が生じた年度についても確定申告をおこなっていないと、損失繰越控除をうけられません。それ以降の年度も継続して申告が必要です。利益がでた年はもちろんですが、損失の年にも忘れずに確定申告をしておきましょう。

尚、FXの有料セミナー参加費などは、FXで利益をあげるために支出した費用は、必要経費として利益から控除することができます。
必要経費に算入できるものとしては、取引手数料、FXに関する書籍や新聞代、有料コンテンツの購読料・会費などです。PC代、インターネット費用、電話代、事務用品代などもFX取りひきに使った割合に応じて一部を経費とすることができます。経費算入できそうな支出については、領収証等を保管しておくことをお勧めします。

2012年はFXの税制が大きく変更されました。総合課税から申告分離課税への変更、取引所先物取引との損益通算が可能になったこと、損失を最長3年間繰りこして利益から控除できるようになったこと。3つの課税方式の変更は、FX利用者にとって大きなメリットとなっています。